Blog

ストリーミングTVのパフォーマンス:広告の尺を基にした計測を導入

ストリーミングTVの広告パフォーマンスを向上するためにプログラマティック・エコシステムは、急速に進化しました。OpenRTB 2.6が、ストリーミングの標準を策定し、TV特有のニーズに対応できる様々な機能を導入しました。その中でも、最も注目すべき機能は、ダイナミック広告ポッド入札です。 

広告ポッド入札は、メディア企業に、収益化や広告ポッドの柔軟な構成を可能にし、バイヤーに優れたターゲティングと測定機能をもたらします。また、すべての関係者の効率性とサステナビリティを向上します。  

しかし、業界では、プログラマティック・ディスプレイ市場のために作られたインプレッションベースのパフォ-マンス指標のみに依存した、従来の方法で、ストリーミングTVを測定しています。 

TVはプログラマティックに、インプレッションやスロット数だけでなく、時間という別の概念をもたらしました。正確にダイナミック広告ポッドの効果を把握し、実際のパフォーマンス結果をバイヤーに提供するには、広告の尺を基にした測定方法を取り入れる必要があります。 

全てのダイナミック広告ポッド枠の価値が平等に評価されない 

OpenRTB 2.6の導入が進むにつれ、サプライがダイナミック広告ポッドへ変更しているのが見受けられます。ダイナミック広告ポッドでは、ポッド内の広告スロット数やスロットの尺を柔軟に変更することが可能で、すべて単一の入札リクエストで送信できます。

ストリーミングTVのパフォーマンス、広告ポッド

つまり、90秒の広告枠には、15秒枠2つと60秒枠1つ、30秒枠3つ、90秒枠1つ、あるいはその他の組み合わせが混在する可能性があります。 

ダイナミック広告ポッドは、メディア企業とバイヤーの双方に柔軟性をもたらしますが、尺が変更できるため、すべてのインプレッション機会が同等の価値を持つ訳ではないことを認識しておくことが重要です。例えば、30秒間のインプレッション機会は6秒間のインプレッション機会より高い価値があります。 

そのため、ストリーミングTVのパフォーマンスを正確に測定するには、任意の広告ポッドの入札リクエスト内のインプレッション機会を測定するだけでなく、全体の広告の尺も考慮する必要があります。    

従来の指標でカバーできないストリーミングTVのパフォーマンス測定 

入札率、フィルレート、落札率などのプログラマティックKPIは、各インプレッションが個別に測定される単体のディスプレイ広告を念頭に考えられたものです。  

当社は、このKPIをストリーミングTV*のパフォーマンスに適用し、広告枠の尺の長さに関係なく、インプレッション数や広告枠を基に測定しています。つまり、この方法では、6秒間の広告を30秒間の広告と同じように扱い、視聴者が広告にエンゲージメントする時間を見落としています。  

その結果、インベントリのパフォーマンスが不完全または誤解を与えるようなインプレッションの計測を、ストリーミングTVのパブリッシャーに提供しています。また、バイヤーが、プログラマティック・ストリーミングTVの予算を最大限に活かす機会を逃してしまいます。 

この課題に対するソリューション 

広告の尺を考慮に入れ、インプレッション数のみでなく、1秒単位で測定を始めるべきです。広告プレースメントの合計の尺をKPIを介して測定することで、メディア企業とバイヤーにパフォーマンスの全体像を提供できます。 

広告の尺を基にした計測の仕組み:  

ストリーミングTVのパフォーマンス、広告ポッド

広告の尺を基にした計測例 

これら2つの測定方法の違いを理解するために、フィルレートを使用してパフォーマンスを評価するストリーミングTVパブリッシャーの例を見てみましょう。この場合、パブリッシャーには100の広告ポッドがあり、それぞれの広告時間は60秒、maxdurationは30秒、maxseqは4つです。   

先ず、総インプレッション数と広告の尺を計算します。  

  1. インプレッション数に基づいてインプレッション機会を見積もるには、通常、[合計広告ポッド数] × [maxseq]の計算式を使い、インプレッション機会を算出します。100広告ポッドに最大4つのインプレッション機会があるため、合計400のインプレッション機会が存在します。    
  1. 広告の尺を基にした機会は、60秒間の100広告ポッドでは、合計6,000秒の機会が存在します。 

次に、パブリッシャーのSSPパートナー2社のパフォーマンスを、インプレッション数と尺を基にした場合の測定で比較します。 

  • SSP1が各30秒の広告ポッドを80件落札(合計2,400秒) 
  • SSP2が各15秒の広告ポッドを100件落札(合計1,500秒) 

2社のSSP間でフィルレートを比較する方法 

ストリーミングTVのパフォーマンス、広告ポッド

ご覧の通り、SSP2はより多くのインプレッションを埋めたため、回数を基にした計算式を適用すると、そのフィルレートはSSP1を上回るように見えます。  

しかし、SSP1は総広告時間(尺)をより長く埋めたため、より多くのパブリッシャーのインベントリを収益化しました。広告時間(尺)に基づいてフィルレートを計算すると、広告枠を埋める効果が高いことが分かり、この場合のパフォーマンスをより正確に把握することができます。 

ストリーミングTVのパフォーマンスをより良く理解する 

全体像を把握するには、広告の尺を基にした指標を考慮に入れることが重要です。インプレッションの回数を基にした指標は、ストリーミングTV広告機会のパフォーマンスの全容を把握することができず、上記の例の通り、歪んだ結果を生むこともあります。 

広告の尺を基とした測定は、より正確な成果を反映し、より良い意思決定を可能にすることで、在庫の価値を最大化する、効果的な収益化戦略につながります。また、マーケターとDSPは、広告の尺ごとの効果と価格設定をより明確に把握できるようになり、入札戦略をテストし、最適化する新たな機会が生まれます。  

ストリーミングTVの機能が発展し続ける中、マーケターは、広告ポッド入札や広告の尺をベースとした測定などの高度なシグナルを使用して、より効果的な広告体験を創出し、オンラインコンバージョンを促す、大きなチャンスを手にしています。Adobe Advertisingは、Index Exchangeと共に、メディア指標の枠を超え、より優れたパフォーマンス成果を最適化・測定することで、ブランドがデジタル投資を最大限に活用できるようサポートしています。

アナ・キランビ(Ana Kilambi) Adobe Advertising、GTM戦略およびオペレーション ディレクター 

私たちは、引き続きプログラマティック・ストリーミングTVの推進に注力し、Index Exchangeでも広告の尺を基にした測定機能を追加する予定です。現在開発中の尺を基にしたレポート機能向上により、ストリーミングTVの広告インベントリおよびキャンペーンの効果を十分に評価するための、インサイトと実用的なデータを提供する予定です。  

*リンク先は、英語のページに移動します。 

ご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。  

ストリーミングTVの機会を最大限に活かすためのヒントをご覧ください。  

Catherine Cho

Catherine Cho

シニアプロダクトマネージャー

キャサリン・チョー(Catherine Cho)は、Index Exchangeのシニアプロダクトマネージャーで、多くのストリーミングTV製品の開発を担当しています。ストリーミング業界とコネクテッドTV広告市場で豊富な経験を持つキャサリンは現在、ベストプラクティスの作成、プライベートマーケットプレイス(PMP)機能の拡大、新しい広告ポッド機能の開発を通して、Index ExchangeをストリーミングTV市場の先駆者として確立することに取り組んでいます。仕事以外では、カリフォルニアで一年中ゴルフを楽しみ、夫と2人の娘と旅行を楽しんでいます。

ブログに戻る