コネクテッドTV(CTV)は大きく成長し、IAB(英語)によると、今年の広告費は212億ドルに達すると予想されています。それでも、プログラマティックのテクノロジーは、メディア企業、バイヤー、視聴者の期待に応えられる広告ブレークの最適化を実現できていません。
実際、Watching That(英語)は、自動買い付けによるコネクテッドTV(CTV)の在庫の約15%が余り、10億ドル以上の損失があると推定しています。
コネクテッドTV(CTV)は、個別の広告を1つの広告ブレークにまとめる広告ポディングに頼っています。広告ポッドは、重複、競合他社による独占、レイテンシー、バッファリング、フリクエンシーキャップなど、くつろいで視聴するテレビ体験をコネクテッドTV(CTV)で再現するための重要な要素を管理しなければいけません。
多くのプログラマティックツールとウェブやディプレイ広告の基準は、コネクテッドTV(CTV)のメディア企業とバイヤーの需要を満たすように設計されていません。
例えば、IAB Tech Labが開発したRTB 2.5プロトコルは、プログラマティックの業界で広く導入され、多くの観点から非常に効果的な基準です。その一方で、これは、コネクテッドTV(CTV)やオーバーザトップ(OTT)環境でプログラマティック動画広告の販売が増加する以前の2016年に作られたものです。
広告業界では、OpenRTB 2.5を使った動画広告ポッドを取引する基本的な方法を発見しましたが、ベストな視聴体験は提供できず、プログラマティック・コネクテッドTV(CTV)の成長を妨げる可能性もありました。
2022年になり、IAB Tech Labは、コネクテッドTV(CTV)における広告ポッドの課題を解決するためにOpenRTB 2.6を発表しました。当社は、 OpenRTB 2.6の新しい機能に期待しており、今回の発表に関われたことを光栄に思います。
OpenRTB 2.6がコネクテッドTV(CTV)の広告ポッドをどのように改善し、業界全体で導入し始めた理由とは?
OpenRTB 2.6は、特にコネクテッドTV(CTV)と広告ポッドの意味合いを考慮して設計されました。コネクテッドTV(CTV)とその他OTT (オーバーザトップ)で、ポッドの在庫が購入可能であることをシグナルで伝達する基準を導入するもので、この業界では長年実現できていませんでした。
OpenRTB 2.5で足りなかったものをOpenRTB 2.6が3つの方法で補い、メディア企業、バイヤー、視聴者にテレビのような体験を再現します。
1.広告の重複
テレビ放送での配信時間や期間の指定、配信する広告のほとんどを直接選ぶことで、視聴者が繰り返し、または重複する広告を見ることはほとんどありませんでした。プログラマティックのテクノロジーは、コネクテッドTV(CTV)において従来のテレビと同じような体験を完全に再現できず、マーケター、コンテンツ制作者、視聴者に不満を残していました。
OpenRTB 2.5を使うと、メディア企業が広告ポッドのインプレッション機会に対してシグナルを送る方法が2つあります。まとまりのない複数の入札リクエスト、または1つにまとめた複数のインプレッション入札リクエストです。
このような方法では、いくつかの問題が生じます。まとまりのない入札リクエストの主な問題は、受信側が1つの連続する広告ブレークのリクエストとして取り扱えないことです。そのため、バイヤーは、同じクリエイティブを何度も返し、メディア企業とサプライプラットフォームは重複する入札を破棄してしまいます。
メディア企業は、まとまりのない入札リクエストを連続で送信でき、広告主に既に受けとった入札を排除するシグナルを伝達できます。これで重複する広告を削減できる一方、レイテンシーを増やし、長いtmax値(レスポンスの制限時間までに返す時間がどれだけあるか、バイヤーに知らせるOpenRTBパラメーター)の需要を高めています。
複数インプレッションの入札リクエストは改善された方法ですが、多くのバイヤーはそれに対応していません。その上、1つのリクエスト内の複数の動画インプレッションと動画広告ポッドを定義する基準がないため、複数の同じクリエイティブを返すバイヤーも存在します。
OpenRTB 2.6は、 広告ポッドと複数インプレッション動画リクエストを明確に区別し、メディア企業が広告ポッドに確かな構造を指示することで、重複広告に対処しています。これにより、バイヤーは必要な情報をすべて得ることができ、重複や競合の対立なく、十分な情報を基に入札を返すことが可能です。
2.広告ポッドの形式
各メディア企業には、様々な広告収益化のニーズがあります。規定の長さの広告ブレークで、できるだけ多くの収益を獲得したい企業や、収益化の目標を達成しながら、できるだけ少ない広告出稿量に抑えたい企業があります。広告ポッドの長さに柔軟に対応できる企業もあれば、ライブストリーム放送中に中断を避けるため細かい広告の配信時間を求める企業もあります。
OpenRTB 2.5は、ポッド内の各枠の最短・最長広告配信時間と固定のCPMフロアプライスを提供するのみで、それぞれの要望に応えることはできません。
OpenRTB 2.6では、広告ポッドについて、構造化ポッド、ダイナミックポッド、ハイブリッドポッドの概念が取り入れられ、さらにメディア企業が販売したい広告ポッドの「形式」を表現できるようなフィールドが多数追加されました。
例えば、入札リクエストのpoddurとmaxseqフィールドを使用すると、指定された時間の広告ポッドを上限数のクリエイティブで埋めるようにバイヤーに依頼できます。また、メディア企業は、mincpmpersecフィールドを使用して、1秒毎のCPMにダイナミック入札フロアプライスを指定できます。もしくは、rqddurs配列を使い、各広告枠で配信可能な詳細な時間を指定できます。
3.広告ポッドと広告スロットの配置
テレビ放送では、番組内の広告ブレークが異なる、あるいは広告ブレーク内の配置が異なれば、価格が異なります。OpenRTB 2.5には、複数の広告ポッドや配置を区別する基準がなく、メディア企業やバイヤーは通常、入札を単に1つのクリエイティブとして扱い、メディア企業が自社で変更できるようにしています。
OpenRTB 2.6ではpodseqを導入し、メディア企業が入札リクエストで、広告ポッドが番組の最初、最後、中盤のどこに位置するかを示せるようになりました。slotinpodフィールドは、広告ポッド内の同じ配置であることを表示できます。メディア企業は、各ポッドにpodidを割り当てられるので、1つの入札リクエストで、複数の広告ポッドを販売できます。
その反対に、バイヤーはどの広告ポッドに入札するか選択でき、入札レスポンスのslotinpodフィールドを利用して、その広告ポッド内の特定の広告配置を選ぶことができます。
今こそ、OpenRTB 2.6に対応し、導入する時
OpenRTB 2.6は、メディア企業、バイヤー、アドテク企業に提供できる機能において大きな一歩となりました。コネクテッドTV(CTV)の基準が再定義され、テレビがプログラマティック広告の真の価値を発揮し、大きな機会を生むマーケットプレイスの開発に繋がります。最終的には、より優れた視聴エクスペリエンスも実現します。
当社では、既にOpenRTB 2.6を実装し始めています。やがてOpenRTB 2.6も当然の条件となるため、メディア企業とバイヤーも対応することを推奨します。
OpenRTB 2.6の利用方法やどう解釈するかについて詳しく知りたい場合は、当社までお問い合わせください。新しい機能を活用できるようサポートいたします。
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