Chromeのサードパーティクッキーの廃止に向けて、Googleは「プライバシーサンドボックス」と呼ばれる一連のAPIを展開します。その内の1つのAPIである「Topics API」は、マーケターが関連性の高い広告を配信し、パブリッシャーがコンテンツを収益化できる一方で、消費者のプライバシーを保護できると提唱しています。この動画では、Index Exchangeの上級主席ソフトウェアエンジニアであるロニ・ゴードン(Roni Gordon)が、Topics APIの仕組みについてお話します。
Topics APIを利用したインタレストベース広告
プライバシーサンドボックスTopics APIは、FLoC(Federated Learning of Cohorts)の提案に代わるもので、消費者をインタレストベースのコホートに分類する代わりに、インタレスト(興味)を反映するものです。FLoCのプライバシー保護措置やGDPRとの互換性についての懸念から、Googleはこの新しいAPIを開発しました。
Topicsでは、サードパーティクッキーのように、消費者の閲覧履歴がウェブ上で共有されることはありません。その代わりに、ブラウザは閲覧履歴に基づいて消費者のデバイスをいくつかのインタレストベースのTopicsに割り当てます。それらのテゴリは、消費者に関連性のある広告を配信するために使用することができます。
例えば、閲覧履歴から、Chromeが音楽、アメリカンフットボール、旅行に関心が高いと把握します。ユーザーは、アメリカンフットボールのスコアをいつもチェックしていたり、いつか行きたいと思っている観光地へのフライトを見たりしています。
次に、Chromeはデバイスを、どのTopicsに割り当てるか決定し、それらのTopicsを利用可能にすることで、インタレストベースの広告を有効にします。
ただし、ユーザーに関するデータや特定の閲覧履歴が、外部の第三者に公開されることはなく、ユーザーのデバイス上のブラウザに全て保存されます。これにより、消費者のプライバシーを守りつつアドレッサビリティと関連性の高い広告を実現します。
Topics APIの仕組み
Topics APIがどのような仕組みなのか解説いたします。
- まず、消費者がオンラインで時間を過ごし、様々なウェブサイトを訪問します。
- Topicsは、各ウェブサイトにコンテクスチュアル・ラベルを割り当てます。例えば、delta.comには「旅行」というラベル、NFL.comには「アメリカンフットボール」のラベルが割り当てられます。
- ブラウザは消費者の閲覧履歴から、設定されている期間(現在は3週間)に、最も頻繁に訪問したTopicsを計算して消費者のブラウザに保存します。
- 消費者が広告を配信するサイトにアクセスすると、そのパブリッシャーが利用するSSPは、サイト上のTopicsを既にチェックしており、その消費者向けのTopicsの選択肢を受け取ります。選択されたTopicsは、SSPがこのサイト上で同じ消費者向けに別のオークションを実施しても、3週間変わることはありません。また、プライバシーをさらに保護するために、ランダムなTopicsが含まれる可能性も僅かにあります。
- SSPは、広告オークションを実施する際、選択されたTopicsをDSPと共有し、より関連性の高い入札を選択できるようにします。
- 最後に、落札された広告が消費者に表示されます。アトリビューションを報告するために、SSPは広告インプレッションに関連するTopicsをパブリッシャーやDSPと共有できます。
Topics APIタクソノミー
Topicsはどれくらい存在し、どれくらい精密なのでしょうか?
現在、タクソノミーには約470のTopicsが含まれています。Googleは、最終的には、数百から数千になると予想しています。
Topicsは、階層型タクソノミーを使用しています。例えば、アートとエンターテインメントは、音楽と音声でより具体的になり、さらにソウルミュージックになると、もう一段階詳細になります。Chromeの目標は、タクソノミーが信頼できるエコシステムの貢献者によって維持されるリソースになることです。タクソノミーは、多くの消費者のブラウザが各Topicsに関連付けられるように、十分に細かくする必要があります。そして、個人を高い精度で特定できるほど、限定されたTopicsにすることはできません。
プライバシーの保護を強化するため、Topicsは民族性や性的指向のような慎重に取り扱うべきカテゴリを避け、公開済みで、人によって管理されたグループを作成します。
消費者には、完全な透明性も提供されています。自分がどのTopicsに属しているかを確認したり、Topicsから外したり、完全に拒否することも可能です。
広告におけるアドレッサビリティへの影響
Topics APIがもたらす影響とは、どのようなものがあるのでしょうか?消費者には、サードパーティのクッキーやFLoCと比較して、よりプライバシーを重視した方法で、関連性の高い広告を有効にします。
パブリッシャーやマーケターにとっては、Topicsがどのような成果をもたらすか、まだ分からない部分があります。規模に応じたソリューションのテストを開始することで、疑問はすぐに解消されると思います。
今後のタイムラインと準備の始め方
テストは、2024年第1四半期を通じて拡大し続け、Googleは、トラフィックの1%でサードパーティクッキーを廃止します。
パブリッシャーには、SSPと協力して、今すぐテストを開始することをお勧めします。また、パブリッシャーはTopicsを公式にサポートするPrebidを最新バージョンにアップデートする必要があります。
また、DSPやマーケターもサードパーティクッキーが有効な内に、広告購入でTopicsのテストを開始することをお勧めします。既存のオーディエンスセグメントとChromeが送信するTopicsを比較し、シグナルの価値と広告費用対効果を簡単に理解できます。例えば、旅行に興味のある消費者は、航空券を購入する可能性が高いと言えますか?安全な仮説のように感じますが、このデータを直接取り入れ、分析することで証明することができます。
当社のチームは、サードパーティクッキー廃止後の世界に向けてTopics APIを理解し、サポートし、アドレッサビリティ戦略を向上させるサポートを提供します。
貴社のビジネスに適したアドレッサビリティソリューションの選び方について
この動画の制作に協力してくれた、ジョシュ・プリスモン(Josh Prismon)とマイク・マックニーリー(Mike McNeeley)に感謝します。