サプライチェーンの透明性:Ads.txt、Sellers.json、SupplyChain

Jade Grodesky, Senior Manager of Exchange Quality
サプライチェーンの透明性は、ブランドセーフティを確保し在庫の品質を向上させ、悪意のある者が プログラマティック・キャンペーンのサプライチェーンに侵入するのを防ぎます。こんにちは、Index Exchangeのエクスチェンジ品質シニアマネージャーのジェイド・グロデスキーです。業界標準がプログラマティックサプライチェーンの透明性をどのように高めるのか見てみましょう。

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プログラマティック・エコシステム全体におけるサプライチェーンの透明性の重要性

サプライチェーンの透明性は、ブランドセーフティを確保し在庫の品質を向上させ、悪意のある者がプログラマティック・キャンペーンのサプライチェーンに侵入するのを防ぎます。業界標準がプログラマティックサプライチェーンの透明性をどのように高めるのか見てみましょう。

IAB Tech Labは透明性を確保するため3つの標準を発表しました。それは認定デジタル販売者、つまりads.txt、 sellers.json、そしてSupplyChain objectです。これらの標準は、プログラマティックキャンペーンを保護しメディア企業の広告在庫の販売者に関する 重要な情報を提供します。

さらに重要なのは、これらが連携すると 特定の取引における個々のパブリッシャーまで、全ての関係者と全てのメディア費の完全な追跡が可能になることです。これらのツールは、サプライチェーン全体の透明性の全体像を把握するために、一緒に使用されることを意図していますがそれぞれ異なる目的があります。

まずは、認定デジタル販売者から見てみましょう。これには、ads.txtとapp-ads.txtが含まれます。これらは一般に公開されているファイルで、メディア企業が、どの販売者がデジタル広告在庫を販売する権利を持っているかを明示できるようにします。認定販売者IDを記載することで、ads.txtは、バイヤーが不正な在庫を回避し、認定済みの、承認されたソースからのみ購入していることを確実にするのに役立ちます。

ストリーミングTVでは、メディア企業が*インベントリ共有契約の下で消費者にコンテンツを配信する方法が多様であるため、さらなる複雑さが加わります。これらの関係性に対処するため、IAB Tech Labは ストリーミングTV専用に開発した、app-ads.txtの拡張版をリリースしました。

次は、sellers.jsonです。これは、*SSPまたは仲介者が管理する公開リストで、各プラットフォームで デジタル広告在庫の販売を許可された、全ての事業体についての*透明性を提供することを目的としています。各販売者の名前、ドメイン、パブリッシャーや仲介者などの役割を記載し、バイヤーが販売者と再販業者の正当性とサプライチェーンにおける立場を確認できるようにします。

最後に、SupplyChain object、つまりschainです。これは、元のメディア企業から最終的な購入者までの各入札リクエストの全ての取引経路を詳細に示します。販売または再販プロセスに関わる全ての事業体を含めることで、この標準は、バイヤーが取引経路の各関係者の正当性を明確にできます。

透明性を高めるツールの活用方法

どのようにサプライチェーンの透明性を向上するか、いくつかの例を見てみましょう。

メディア企業は、ads.txtファイルを公開しており通常はドメインに「/ads.txt」を追加してアクセスできます。例えば、「publisher.com/ads.txt」のようになります。

このファイルには、在庫の全ての認定販売者が表示されます。各販売者の情報には、セラードメイン、セラーID、そしてメディア企業との関係性が含まれます。例えば、認可された販売者はindex exchange.com, 12345, directのように表示されます。

この販売者情報は入札リクエストで渡されるので、ダウンストリームのパートナーはads.txtファイルを使用して受け取っている在庫が認可されているものかどうかを確認できます。この入札リクエストは、SSPまたは仲介者に渡されインプレッション機会の販売に関与していることを示すために schainノードを追加します。

schainには販売者自身のドメイン、セラーID、その他の識別情報が含まれます。セラーIDは、メディア企業のads.txtファイルにホストされているID番号と一致する必要があります。仲介者は自身のsellers.jsonファイルをホストし、そこにはプラットフォーム上で 利用可能な全てのサプライが表示されます。 このファイル内では、メディア企業が 会社名、ドメイン、セラーID、インベントリタイプと共に表示されなければいけません。

この情報は、メディア企業の ads.txtファイルと照合できます。 セラーIDは、合致すべきで 「ダイレクト(DIRECT)」と記述されている場合、sellers.jsonのエントリーは 「パブリッシャー」または「両者」と示されるべきです。ads.txtに再販業者の1行が存在する場合は、sellers.jsonのエントリーは「仲介者」です。

サプライチェーンの透明性

では、未認可のドメインの場合はどうなるでしょうか?

この場合、入札リクエストで渡されたIDを照合すると不一致が見つかります。これは、プロセスのどの段階でも発生する可能性があります。仲介者から渡されたIDを確認する場合、それはads.txtファイルに存在すべきです。存在しない場合、その販売者は認可されていないことを意味します。IDがads.txtファイル内の別の販売者と一致する場合もあり得ます。これは、仲介者がパブリッシャーから直接入手していない可能性があります。

また、この例から分かるように、インプレッションが、サプライチェーン内で多数のホップを経由していないことを確認するには、schainを入念に検証する必要があります。 在庫から距離が離れるほど効率が低下し、インプレッションの販売に誰が関与しているか分からないことで 更にリスクが生じます。

Ads.txt、Sellers.json、SupplyChainを組み合わせる活用方法

これらのツールは、それぞれ異なる役割があり、異なる当事者がこれらのファイルを管理しているためads.txt、sellers.json、 SupplyChainを相互参照することで、バイヤーがサプライチェーンの各ステップを検証し、全ての販売者が認可されていることを確認し不一致を特定するのに役立つ全体像を把握できます。

Ads.txtはメディア企業が、在庫販売を認可された販売者を明示できるようにしますが、認可された仲介者や再販業者を含むそれぞれの広告機会の完全なサプラパスは開示しません。

SupplyChainとsellers.jsonは、さらに一歩進んでSSPがメディア企業の広告在庫の販売に関与する全ての当事者を開示し、ドメインレベルだけでなくルートパブリッシャーレベルで販売者の特定を可能にします。Sellers.jsonを参照することで、広告インプレッションの背後にある支払先を追跡し資金の流れを明らかにします。

これはマニュアルで確認することもできますが、多くのプラットフォームでは効率化を図るため、このプロセスの一部を自動化しています。パートナーと協力しツールやソリューションを模索し、このプロセスをより効率化し各販売者のトラフィックの統計的に有効なモデルを検証することを推奨します。

Ads.txt、Sellers.json、SupplyChainは、安全で透明性のあるプログラマティック・マーケットプレイスを発展させるために不可欠です。これらの標準を正しく実装し、継続的に使用し、取引を検証することでバイヤーの安全性とメディア企業の収益を最大化します。

*のリンク先は、英語のページです。

Index Exchangeのエクスチェンジ品質に関するアプローチをご確認ください。

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