OpenRTB 2.6とは何か、コネクテッドTV(CTV)をどのように変えるのか?
OpenRTBとは、アドテクで使用されている用語です。これは、プロトコルでメディア企業、バイヤー、エクスチェンジ、仲介者が互いに理解し合う方法を定義します。
Index Exchangeは、IAB Tech Labと協力し、テレビの複雑さを考慮した、重要なアップデートを含む最新バージョン2.6を開発しました。2022年の初頭にリリースされました。業界をバージョン2.6に移行させることは、プログラマティック広告とコネクテッドTV(CTV)を拡大する上で重要な役割を果たします。
OpenRTB 2.6には多くの新機能が導入されていますが、今回はコネクテッドTV(CTV)の最も一般的な課題を解決するものに焦点を当てます。
- 広告ポッドと広告ポッド入札のサポート
- 新しいタクソノミーの採用
- 動画の効率的なシグナリング
- 有益な入札レスポンス
広告ポッドと広告ポッド入札のサポート
広告ポッドとは、次々と流れる複数の広告のことで、従来のリニアTVの広告に似ています。OpenRTBの以前のバージョンでは、広告ポッドのサプライ状況を知らせる標準化された方法がありませんでした。
バージョン2.6では、広告ポッド入札をコネクテッドTV(CTV)に提供できる新機能が導入されました。この新機能で、メディア企業にとって広告ポッドを作成し、収益化することが容易になり、バイヤーが必要とするターゲティングと測定機能を可能にします。
これは、重要かつ待望のアップデートであり、コネクテッドTV(CTV)でテレビコマーシャル枠と同じような機能を簡単に実現できるようになります。つまり、1つのコマーシャル枠内で同業種の広告を一緒に出さない、また同じ広告を重複して表示しないといった制御が可能になります。
OpenRTB 2.6では、構造化、ダイナミック、ハイブリッドという3種類の柔軟な広告ポッドを導入、定義しています。これにより、メディア企業は、特定の収益化や視聴者体験のニーズに合わせて、さまざまな広告スロットの数や長さを設定した広告ポッドを構築できます。
広告ポッド入札では、プログラマティックを活用した購入時に、バイヤーは広告ポッド内の特定の広告枠に入札できます。従来、番組内の異なるテレビコマーシャル枠、あるいはテレビコマーシャル枠内の異なる位置は、視聴者の関心度によって価格が異なっていました。これをコネクテッドTV(CTV)で再現することは、広告ポッド入札の機能なしには不可能だったのです。
現在メディア企業は、番組、映画、ストリーム内の特定の広告ポッドの位置とポッド内の広告スロットの位置を示すことができ、バイヤーは入札レスポンスを選定できます。
また、バージョン2.6では、固定のフロアではなく、秒単位のCPMフロアを定義できるようになりました。例えば、メディア企業が1秒あたり50セントのCPMフロアを要求した場合、30秒の広告には15ドル、60秒の広告には30ドルのフロアに相当します。OpenRTBにおいて、ダイナミックフロアという概念は、これが初めてです。
新しいタクソノミーの採用
OpenRTB 2.6では、メディア企業とバイヤーが入札リクエストとレスポンスでドメイン固有のタクソノミーを使用できます。
以前のバージョンでは、3つの項目にコンテンツカテゴリ・タクソノミーを使用しました。
- サイトやアプリのカテゴリを記述
- サイトやアプリ内の特定のセクションやページを記述
- ブランドのクリエイティブカテゴリを示す
もともとウェブ用に設計されたもので、広告、コンテンツ、オーディエンスのための個別の記述ができず、使いづらいものでした。
OpenRTB 2.6ではドメイン別タクソノミーに移行したため、それぞれのタクソノミーが存在します。
- 今後は、ブロックされた広告主のカテゴリを示すには、広告プロダクト・タクソノミーを使います。
- 特定のページパブリッシャーやストリーミングアプリに関連するカテゴリーを表示するには、コンテンツ・タクソノミーを使用します。
- ファーストパーティデータや他のタイプの消費者データのオーディエンスを示すには、オーディエンス・タクソノミーを使用します。
メディア企業とバイヤーは、IABが提供する標準的なタクソノミーを使用するだけでなく、カスタム・タクソノミーの使用について合意することもできます。
音声と動画の効果的なシグナリング
Open RTB 2.6では、2つの点において、より効果的なシグナリングのサポートを導入しました。コンテンツのネットワークとチャンネルを示すものと、SSAI(サーバーサイド広告挿入)に対する期待値を高めるものです。
ネットワークとチャンネルとは、A&E Networksが一例で、さまざまなストリーミングプラットフォームやシンジケーションパートナーを通じて利用できるチャンネルは、History Channel、Lifetime、VICEなどがあります。このようにネットワークやチャネルプロバイダーを記述することで、メディア企業はサプライについてより詳細で透明性が高くなり、バイヤーにとって、コネクテッドTV(CTV)の在庫状況をより明確にすることができます。
サーバーサイド広告挿入技術は、コンテンツと広告の間に中断がなく、シームレスな視聴体験を提供するため、コネクテッドTV(CTV)動画ストリームの配信に使用されています。しかし、SSAIの実装が異なると、測定や課金通知の処理方法が異なります。
SSAIのシグナリングが充実すれば、メディア企業は、広告がクライアント側とサーバー側のどちらでコンテンツストリームに挿入されるかをバイヤーに示すことができます。さらに、インプレッション通知やその他のビーコンがクライアント側、またはサーバー側から発信されるのか明らかにできます。
このシグナルは、視聴者体験の質を示すだけでなく、不正防止目的にも有効です。アドテクのサプライチェーン参加企業は、インベントリ品質の業界標準に従い、IPアドレス、ユーザーエージェント、ads.cert 2.0やRokuのウォーターマークなどのデジタル暗号署名を監視できます。
これらのシグナルは、デバイス、アプリ、プレイヤーがすべて予測通りに動作し、本物であることを検証するために使用できます。OpenRTB 2.6では、「課金可能なイベントとトラッキング広告の測定」という新しいセクションで、これらのシグナルの使用方法についてガイダンスを提供しています。
有益な入札レスポンス
OpenRTB 2.6では、入札レスポンスをメディア企業にとってより有益なものにするための新しいフィールドを提供しています。これまで、エクスチェンジやメディア企業は、バイヤーの広告マークアップフィールドの内容を調べて、どのようなクリエイティブが返されたのか、該当する場合は、その長さの判断が必要でした。
これは、バナーや動画、ネイティブの入札レスポンスのいずれかをバイヤーに返すよう依頼できるようなマルチフォーマットのリクエストでは特に困難です。
バイヤーは、バナー、動画、音声、ネイティブといった特定のクリエイティブの種類と、動画や音声のクリエイティブの長さを入札レスポンスで直接指定できるようになりました。その結果、メディア企業は、各クリエイティブのマークアップを解析することなく、より簡単に広告ポッドを構築できるようになりました。
コネクテッドTV(CTV)の未来に向けて
これまでコネクテッドTV(CTV)の成長は、業界全体の標準や、TVの意味合いを考慮して設計されたプログラマティックツールの欠如によって妨げられていました。OpenRTB 2.6では、問題が解決され、コネクテッドTV(CTV)広告の未来を切り開くための新しい機能が標準化されました。
業界全体がOpenRTB 2.6を導入することで、共通の理解を持ち、プログラマティック・コネクテッドTV(CTV)の可能性を最大限に引き出すことができるのです。